これまでオーナー負担だった電気代の上昇分 ─ その問題も解消
「テナントさんの電気料金に関しては以前から悩みの種でした」と語るのは東洋ケミテック 株式会社・管理部長の富永秀樹さん。兵庫県神戸市にある東洋ビルの管理責任者だ。ビルオーナーはグループの資産管理を担当する有限会社 オリエント興産。管理業務を富永さんが統括する。
この東洋ビルには同じグループ企業の東洋コーティング 株式会社のほか、物流やIT関連などの会社が入居する。約50坪の東棟と約100坪の西棟に区切ったつくりの地上5階建て。
エコテナントを導入する数年前から、日本テクノの保安管理サービスは利用していた。前任の管理技術者から委託を切り替えるときには「正直、多少の不安もありました。しかし、このビルと同時に委託した工場のほうで、24時間監視のデータから電気設備の不具合を見つけてくれ、それ以来、不安はなくなった」という。だが当時はまだエコテナントのサービスはない。冒頭のコメントにある富永さんの悩みは解消されないままで、それは電気料金の請求管理業務だった。
一般にテナントビルのオーナーは、ビル全体の電気代を一括で電力会社へ支払う。各テナントの電気代は、オーナーが子メーターに示された使用量などから計算してそれぞれに請求する。
「その料金単価や計算方法が、このビルができた1989年当時のままずっと継続されていました。テナントさんは安い電気代だと感じていたようです」。途中から管理業務を引き継いだ富永さんはこれを是正しようと、適切な単価や計算方法を求め、電力会社や知人のビルオーナーなどに相談した。だが明確な答えはない。多くは、「テナントビルの電気代は個別に異なりオーナーの判断で決めるべき」という意見だ。
しかし、妥当性のある数値でなければ値上げの要求はできない。もどかしさを感じつつ各フロアの子メーターを検針し20年以上前の方法で請求を続けていた。そんなときに提案されたのがエコテナントだった。デジタル式の子メーターで、1円単位まで明確に計算されるシステム。それだけでも求める内容だったが、このサービスはそこから派生する請求や入金確認といった収納業務も代行され、不要になる。エコテナント導入後の現在、富永さんは「想像以上にいいサービスだ」と喜びを隠さない。